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終わるマッスル
【前口上】

 フィッシュマンズというバンドがあった。まあ、厳密に言えばまだあるのだが。

 彼らは一度その長い歴史に終止符を打つツアーを敢行した。ツアー最終日の1998年12月27日の赤坂BLITZでのライブは、『98.12.28 男達の別れ』としてライブアルバムおよびDVDになっているので興味がおありの方は是非聴いて or 見てみるとよろしい。

 なぜ「男達の別れ」なのかといえば、オリジナルメンバーのベースの柏原譲が家業を継ぐために、バンドを脱退し帰郷することが決まっていたからだ。

 とはいえ、確かバンドは解散する予定はなかったはずだが、最初に「あった」と書いたのは、ボーカル&ギターの佐藤伸治が年が明けて3月、これも確か、なのだが風邪をこじらせ肺炎を発症し、心不全で亡くなってしまったからだ。

 誰もそのような意味を帯びるとは思っていなかった、しかし非常に感傷的で感動的だったその日のライブは、文字通り多くの人にとってのフィッシュマンズのラストライブになった。

 結局形式上はフィッシュマンズは解散せず、1999年以降も公式ホームページは存在し、更新は続いており、ゲストボーカルを迎えたライブやツアーを行ったこともあるのだが、やはり多くの人々にとって、フィッシュマンズは終わってしまったのだと思う。少なくとも、1度は確実に終わったのだ。

【序文】

 10月6日、「マッスルハウス10 負けるから即引退させてくれSP」というプロレス興行が開催された。

「マッスル」とは、あまりプロレスに詳しくない方には、インリン様や和泉元彌や泰葉でそこそこ話題を集めた「ハッスル」が思い浮かぶかもしれないが、似て非なるものである。とはいえ、マッスル主宰のマッスル坂井が一時期ハッスルの練習生になっていた過去もあったりするのだが、ここでは触れない。

 マッスルの特異性はもうここで語り尽せるボリュームではないので、各々気になった方は調べてください、という形でお願いしたい。『クイックジャパン』で特集されたりもしているので、Amazonやビレバンで購入してみてもいいのでは。あと水道橋博士・菊地成孔・プチ鹿島といった論客たちがブログで感想を書いたりしている。

(とりあえずWikipediaのリンク → http://bit.ly/dx6llE)

「行こうよ! プロレスの向こう側!」と謳い、プロレスを八百長だとDisる向きを嘲笑うかのようなリング上でスローモーションになって戦う演出、舞台的な装置・演出の大胆な導入など(前回興行マッスルハウス9は、その名も「リングオブコント」であった)、『クイックジャパン』や『SPA!』などのカルチャー誌・一般誌への露出もあり、プロレスファンや、現在はプロレスから遠ざかっている、水道橋・菊地両氏のようなプロレス者(僕はプロレス的思考がDNAに刻み込まれている人間を指す言葉、みたいな感じで使ってます)以外にも訴求する力が、マッスルには確実にあったし、今後その規模を少しずつ広げていくことが期待されていた。

 実際にマッスル坂井は、マッスル日本武道館興行実現を目指すことを明言していたし、ファンはそれを期待していた。TRICERATOPSの和田唱が日清パワーステーションのライブで「ここにいる皆を俺らが武道館に連れてってやるよ!」と宣言し実現したことを思い出す人がどれだけいるかは知らないが。

 ところが、そんなマッスル坂井が、8/3、DDTプロレスリング(マッスルはDDT内の1ブランドという位置づけ。坂井自身もDDTの映像制作部門である有限会社DDTテックの取締役)の興行内で、家業を継ぐために10/6のマッスルを最後にプロレスラーを引退し、新潟に帰郷することを発表した。その時、会場から「武道館はどうするんだよ!」という声が飛んだそうだ。

 マッスル坂井引退の報を聞き、マッスルハウス9は見に行きたかったが行けなかったので、この時点で絶対に最後のマッスルは見逃すわけにはいかないと、僕はチケットを押さえた。そして、実際に上手いこと、前日と翌日は埋まったものの、10/6は観戦できる流れとなった。結論から言ってしまうと、この1日は色々なものの流れの確かな存在を実感する日になった。


 ここで最初に記したフィッシュマンズの話に戻る。記憶が不確かだったので検索してみたのだが、ネット上では情報が見つからなかったものの、柏原譲も新潟が故郷であったと僕は記憶している。マッスル坂井引退の報を聞き、即座に柏原のことが思い起こされた。

 これは極私的な都合にも因る話ながら、僕は血の繋がりにまったくと言ってよいほど意味を感じない。もちろん血縁であるが故の縁の濃さというものはあるのだろうが、同様に濃密なコミュニケーションは、血の繋がっていない相手ともできる、というよりも、家族よりも好きな人や大切な人が多い、くらいに思っている。

 もちろんそれが一般的とは思っていないが、少なくとも僕自身はそう思っているために、12年前、家業を継ぐために、フィッシュマンズという本当に稀有なバンドを辞めてしまう柏原のことが理解できなかった。僕にとっては才能は権利でなく義務であり、柏原譲は音楽活動を行うことで、その才能でこの世の中に少しでもよい何かをドロップしなければいけないのだと本気で思っていた。家業を継ぐためという理由では納得できなかった。それならばまだお決まりの“音楽性の違い”で辞めていてくれたほうがよかった。

 結局、柏原は佐藤伸治の死をきっかけに、再び音楽活動を始めるのだけれど、彼の再始動を知ったのが、シングルから発行していたフリーペーパーから全て持っていたLaB LIFeの大谷友介がボーカル&ギターのバンド、Polarisであるという朗報であっても、「そんなくらいなら最初から辞めるなよ」と思った自分がいたのはどうしようもない事実。

 だから、マッスル坂井も、家業なんて、他の人間でどうにかしてくれよと思った。また、プロレスというものは、大仁田厚のように何回引退→復活しても許されるジャンルだし、そもそもこの引退自体ネタでした〜、となっても、俺は許すからむしろ冗談であってくれよとも思っていた。一緒に見に行ったチミドロ(バンド)の花井さんも、見終わった後でも「これが本当である感じがしない」と言っていたし、正直これを書いている今でも、冗談であってほしいと思っているくらいなのだが、ライター鈴木健のサイトに引用された坂井の言葉を読んでしまうと、 さすがの僕も、家業なんて継ぐなよとは言えなくなってしまう。ただ、DDTの社長高木三四郎も言っていたが、家業が軌道に乗ったら、いつでも復帰していいと思う。働きながらプロレスを続けているレスラーなんて掃いて捨てるほどいるのだから。


 ともあれ、そのような、納得できない思いを抱えながらも、とにかく最後のマッスルを見届けないわけにはいかないと、後楽園ホールに向かったのである。

(ちなみに、その肝でもある台詞回しまで恐るべき記憶力&メモ力で、ほぼ全てのマッスルの興行を写真つきレポートしているExtreme Partyというサイトがあるので、マッスルが気になった方は下記をザーッと見てみるとよいかと思われ。それでも結構時間かかるだろうけど。あとマッスル1は結構普通のプロレス興行。 また、マッスルハウス10のレポートもすでに上がったので、細かい内容はExtreme Partyさんでご確認いただきたい。
 ↓
http://xxtreme.web.infoseek.co.jp/muscleindex.html

コチラに続く)

  

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